美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「だって、そうでしょう。蓮様のお相手なら自薦他薦ともに、さばききれぬほど後ろに列が連なって並んでいます」
冗談ではないのだ。こちらの苦労も全くわかっていない目の前の玲瓏皇子は、この手の話になると眉間にしわを寄せ、いつものようにしっしと手を払う。
「丈夫な竹箒を椎名には預けているだろ?僕の庭先は綺麗に掃除しておいてくれよ。言っただろ。僕も父上のように自分でびびっと選んだ人としか恋愛や結婚はしないから、いつなんどき僕が選んできてもいいように、常に庭先は綺麗にしておくんだよ」
あっけにとられて目の前のイケメンを凝視する。そうはいっても……いつになっても選んでこない。社長はそろそろなんとかしたらどうだといつも言っている。
縁談が社長のところへ降ってきて、さばききれないのだ。財界の長からも最近くるようになった。この間は内閣のとある大臣やら、首相関係など……。