美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 有斐沙織という有名舞台女優は彼にずっと片思いをしていた。しつこく会社に来たり、パーティーに不意打ちで現れエスコートを強要したり、質が悪い。どうやってもなかなか諦めなくて困っていた。

 彼女の父親のやっている有斐ロジスティクスがうちと取引があることもあり、きつく出ることも出来ず、困っていたのだ。

「友人として付き合いたいという気持ちを花言葉で伝える作戦だよ。そういう花を選んでもらって特製の花かごを作ってもらったんだ。そうしたら彼女今迄みたいに怒らなかった。どうやら、彼女の琴線に触れた用でね。助かったよ」

「だからって、蓮様……」

「というわけで、彼女を椎名と同様、僕の大切な箒係、いや懐刀に就任させるというわけだ。何かあればあの花言葉を使う」

 この人は何を言っているんだろう。絶対それだけじゃない。蓮が自分からこんなに女性のことでやる気になったのは見たことがない。

 絶対その娘に興味があるんだとすぐにピンと来た。だが、どうせやめろと言っても無理だろう。満足げな横顔を見ながらため息を落とすしかできなかった。
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