美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「……あの?何かお探しでした?」
少しためらうような表情で彼は言った。
「楽屋におけるようなアレンジの花を頼みたいんだが……」
「はい。ご予算とご希望のお花があればお作り致しますが……」
「うん……そうだな。あの、少し相談したいんだ」
「はい」
彼は周りをキョロキョロと見渡して、店へ入っていく。そして、アレンジの目安にしてもらうために作っている花かごなどを見ている。
「実は昨日母から聞いたんだが、赤いカーネーションを母の日に贈るのは『母への愛』などの意味があるそうだね。色が違うともダメらしいと初めて知ったよ」