美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 名取さん、言い方が……。

 すると、下から伯母の声がした。

「さくらー、神崎様からお電話よー、店に電話がかかってきたの。すぐ、降りてきなさい!」

「まさか、蓮か?一体、なんなんだよ!」

 名取さんが伯母の声を聞いてぶつぶつと言っている。

「名取さん、あとでかけなおします」

「あ、おい……」

 私は電話を切ると、下に降りて店の電話に出た。そうだ、私の個人連絡先を神崎さんには教えていなかった。
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