美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「なんだよ、君までそんなこと言うのか。せっかくだからふたりっきりのほうがいいと思って運転してきたのに。女の子に運転なんてさせるもんか」

 びっくりして彼の顔を見た。なんだか、怒ってる?渡すものかとハンドルに覆いかぶさってる。ふふふ。

「なんだよ」

「いいえ。なんか、女の子扱いされるの久しぶりすぎて、忘れてました」

 彼はエンジンをかけた手を止めて、驚いたように私を見た。

「そうなのか?」

「はい」

「まあ、僕も女の子を助手席に乗せるなんて初めてだよ」
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