美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「わかりました……それでどの辺なんですか?」
「君達が言っていたセレブと庶民感覚の話。気持ちはわかるが、ビジネスとして成功させるにはこのベリが丘にある企業を少しでも客に取り込む必要がある。企業は定期的にオフィスの花を変えたり、お客様相手に花を都合するからだ」
「企業……ですか?」
「ああ。名取のネームバリューを使って最初は企業相手にできるだけ客を取る。うちはね、ツインタワービルに本社があるから大抵大手のフラワーチェーンと受付の花などをリース契約しているのは知っているんだ。だからここを含め、ビジネスエリアにある企業をターゲットにする」
「……」
彼が言うことはわかる。なるほど。思いもつかなかった。