美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
「え?!」
「オーナーが不動産屋を通さず、自分の知り合いで一階を貸してもいい人を探しているんだ。この角地、両側がここビジネスエリアの中心地だ。会社に訪問する人はここで待ち合わせやお茶をしたり、この店の菓子を手土産に持っていく人もいる」
なるほど。ここで商売をすればお花を買っていく人がかなり出るだろう。オフィス向けのアレンジはきっと売れる。観葉植物だけでなく、プレゼント用の花束も需要があるだろう。
そして、ビジネス街の有力企業が両側に連なる。うまくいけば、定期的にオフィスの花を変えるなどのリース業もできる。
神崎さんは花屋について詳しくないはずだが、ビジネスマンとしての視点が鋭いからこそ、ここを選ばれた。間違ってはいないし、すぐに手付をするあたり、本当にすごいと思う。でも……。
「おっしゃる通りですね。でも、ここの月々の賃料かなりするんじゃないですか?」