余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「ユーリ! 頑張れ~!」

「っ!? エレノア様!? きゃーー!!! 危ないですよ!!!」

 ミラが慌てるのも無理はなかった。ユーリは今模擬戦の最中。場合によっては巻き沿いを食らう。ミラは大慌てでエレノアの元に向かった。

「は? なん――っ!」

 ユーリはエレノアに気付くなり目を見張った。その頬はほんのりと赤く色付き、栗色の瞳はじんわりと(とろ)けて。

「ドアホ」

「ってぇ!!??」

「きゃあッ!?? ユーリ!!??」

 直後、ユーリの頭に剣が刺さった。慌てて駆け寄り患部に目を向ける。どうやら峰打ちであったようだ。たんこぶこそ出来ているが出血はしていなかった。

「っは! 生意気なガキだぜ。一丁前に鼻の下なんか伸ばしやがって」

「~~っ、ちがうッ!! オレはただその……っ、急に話しかけられてビックリしただけだ!!」

「何ってこと! ごめんなさいね、わたくしのせいで」

「う゛……っ」

「直ぐに治します。じっとしていて――」

「いっ、いいッ! こんなのへっちゃらだッ!」

「あっ! ユーリ……っ」

 ユーリはエレノアを半ば押しのけるようにして離れていってしまった。
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