余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
「ちょっと! 何すンのよ!」
ミラが透かさずエレノアを支える。彼女はすぐさまユーリを非難したが、当の本人は無反応。聞こえないふりを貫く構えであるようだ。
「あ~、あ~、何やってんだおめぇーは」
「うるさいッ!! オッサン、もう一本だッ!!」
ユーリは相手の男性に剣を向けた。白い霧がかったオーラが彼の全身を包み込む。
(驚いたわ。あの若さで無属性魔法を扱えるなんて……)
感心するエレノア。対するユーリの顔は真っ赤に染まっている。しかし、エレノアがいる位置からは確認出来ない。ユーリのほぼ真後ろに立っているからだ。
「ユーリ、せめて頭の傷だけでも――」
「~~っジャマすんな!!」
「ったく……」
合流した団長が微苦笑を浮かべる。やれやれと首を左右に振って、ユーリの対戦相手である男性に目を向けた。
「イゴール、もう一本付き合ってやれ」
「へいへい」
イゴールと呼ばれた男性は、団長に言われるまま中段の構えを取った。白い霧がかったオーラが彼の全身を包み込む。
ドワーフを彷彿とさせるような立派な髭を蓄えた男性だ。鬱屈とした表情こそ浮かべているものの、改めて見てみると温厚な人柄が透けて見える。
ユーリを見る目がどことなく優しいのだ。単純に子供好きなだけなのかもしれないが、もしかすると団長同様にユーリの気概に心動かされた人物であるのかもしれない。
「ユーリ! ぜってぇー勝てよー」
「聖女のねーちゃんも見てるわけだしな?」
「~~っ、うっせえ!!!」
「俺はユーリが勝つ方に1,000マネだ」
「んじゃ、オイラはイゴールが勝つ方に10,000マネでやんす!」
気付けばギャラリーが出来ていた。稽古そっちのけで二人の戦いを愉しむことにしたらしい。
(のけ者であった過去は遥か遠く。貴方はこの一団の仲間として認められているのね)
エレノアは羨望と祝福を瞳に乗せて戦いに挑まんとするユーリの背を見つめた。
ミラが透かさずエレノアを支える。彼女はすぐさまユーリを非難したが、当の本人は無反応。聞こえないふりを貫く構えであるようだ。
「あ~、あ~、何やってんだおめぇーは」
「うるさいッ!! オッサン、もう一本だッ!!」
ユーリは相手の男性に剣を向けた。白い霧がかったオーラが彼の全身を包み込む。
(驚いたわ。あの若さで無属性魔法を扱えるなんて……)
感心するエレノア。対するユーリの顔は真っ赤に染まっている。しかし、エレノアがいる位置からは確認出来ない。ユーリのほぼ真後ろに立っているからだ。
「ユーリ、せめて頭の傷だけでも――」
「~~っジャマすんな!!」
「ったく……」
合流した団長が微苦笑を浮かべる。やれやれと首を左右に振って、ユーリの対戦相手である男性に目を向けた。
「イゴール、もう一本付き合ってやれ」
「へいへい」
イゴールと呼ばれた男性は、団長に言われるまま中段の構えを取った。白い霧がかったオーラが彼の全身を包み込む。
ドワーフを彷彿とさせるような立派な髭を蓄えた男性だ。鬱屈とした表情こそ浮かべているものの、改めて見てみると温厚な人柄が透けて見える。
ユーリを見る目がどことなく優しいのだ。単純に子供好きなだけなのかもしれないが、もしかすると団長同様にユーリの気概に心動かされた人物であるのかもしれない。
「ユーリ! ぜってぇー勝てよー」
「聖女のねーちゃんも見てるわけだしな?」
「~~っ、うっせえ!!!」
「俺はユーリが勝つ方に1,000マネだ」
「んじゃ、オイラはイゴールが勝つ方に10,000マネでやんす!」
気付けばギャラリーが出来ていた。稽古そっちのけで二人の戦いを愉しむことにしたらしい。
(のけ者であった過去は遥か遠く。貴方はこの一団の仲間として認められているのね)
エレノアは羨望と祝福を瞳に乗せて戦いに挑まんとするユーリの背を見つめた。