余命2年の初恋泥棒聖女は、同い年になった年下勇者に溺愛される。
(ふふっ、相変わらず……いえ、一層素敵になったわね)
異国由来の褐色がかった肌に、彫の深い顔立ち。黒髪坊主頭で、顎と口には髭を生やしている。
服装は馴染みの黒い革製のジャケット、パンツ、ブーツスタイルだ。
鋭さと知的さ。相反する魅力から醸し出されるスモーキーかつスパイシーな色香は、歳を重ねたことで更に深みを増したように思う。
「演習をするようだな。ふむ、『ファイアキャノン』か。……人族の基準で言えば中上級クラスの魔法だな」
『うーっし! 見てろよ、師匠ッ!』
(師匠……!)
今のユーリはレイのことをそう呼んでいるらしい。
(かつては『ヒゲのオッサン』とお呼びしていたのに。何だかとっても感慨深いわ)
きっと色々なことがあったのだろう。ほんの一部でも見てみたかった。彼らが歩み寄るその姿を。
(……残念)
エレノアは小さく肩を落とす。叶わぬ夢がまた一つ増えてしまった。
『髪、燃すなよ』
『~~っ、蒸し返すなよ! バカッ!』
『ふふっ……』
エレノアの口元から笑みが零れる。容易に想像がついたからだ。慌てふためくユーリの姿が。
『ったく……』
ユーリはゆっくりと魔方陣を展開し始めた。
レイと同じ青色だ。光属性の魔法ではないからか。虹色の輝きを持つ『勇者の光』がエレノアの目に触れることはなかった。
ユーリは詠唱を終えて――巨石に手を向ける。
『くらえ!!!』
火球が放たれる。その数五発。間髪入れずに五発だ。それらの火球はすべて巨石に向かって飛んでいく。
一発、二発と命中するごとにヒビが入っていき。
『っ!?』
四発目で砕け散った。栗色の瞳が爛々と輝き出す。
『どうだ!! 完璧だ――いでっ!?』
石が直撃した。ユーリの紅色の頭に。余程痛かったのだろう。頭を抱えて座り込んでしまう。
異国由来の褐色がかった肌に、彫の深い顔立ち。黒髪坊主頭で、顎と口には髭を生やしている。
服装は馴染みの黒い革製のジャケット、パンツ、ブーツスタイルだ。
鋭さと知的さ。相反する魅力から醸し出されるスモーキーかつスパイシーな色香は、歳を重ねたことで更に深みを増したように思う。
「演習をするようだな。ふむ、『ファイアキャノン』か。……人族の基準で言えば中上級クラスの魔法だな」
『うーっし! 見てろよ、師匠ッ!』
(師匠……!)
今のユーリはレイのことをそう呼んでいるらしい。
(かつては『ヒゲのオッサン』とお呼びしていたのに。何だかとっても感慨深いわ)
きっと色々なことがあったのだろう。ほんの一部でも見てみたかった。彼らが歩み寄るその姿を。
(……残念)
エレノアは小さく肩を落とす。叶わぬ夢がまた一つ増えてしまった。
『髪、燃すなよ』
『~~っ、蒸し返すなよ! バカッ!』
『ふふっ……』
エレノアの口元から笑みが零れる。容易に想像がついたからだ。慌てふためくユーリの姿が。
『ったく……』
ユーリはゆっくりと魔方陣を展開し始めた。
レイと同じ青色だ。光属性の魔法ではないからか。虹色の輝きを持つ『勇者の光』がエレノアの目に触れることはなかった。
ユーリは詠唱を終えて――巨石に手を向ける。
『くらえ!!!』
火球が放たれる。その数五発。間髪入れずに五発だ。それらの火球はすべて巨石に向かって飛んでいく。
一発、二発と命中するごとにヒビが入っていき。
『っ!?』
四発目で砕け散った。栗色の瞳が爛々と輝き出す。
『どうだ!! 完璧だ――いでっ!?』
石が直撃した。ユーリの紅色の頭に。余程痛かったのだろう。頭を抱えて座り込んでしまう。