呪われた精霊の王子様は悪役令嬢に恋をする
オマケ 4
ーーーー星が降る夜。
濃紺の天鵞絨が広がる夜空は、主を冬の星座から春を司る乙女に代えた。
その瞬間を見守っていたギルベルトは、腕の中で流星群に、みとれているエルディアーナに幸福を知る。
満天の星がざわめく空の上、地上の灯りは弱く儚く、暖かい。
王都の灯りを遙か眼下に見下ろして、ギルベルトはコッソリと、愛しい少女の旋毛に口付けた。ギュッと抱き締める事も忘れない。
「ーーーーギル?」
不意に加わった腕の力に、エルディアーナが振り仰ぐ。
大人しく腕に身体を預ける少女は、ギルベルトに対してどこまでも無防備だ。
その絶対の信頼感が、ギルベルトに悪戯を思い付かせた。少しは自分を男と意識すればいいと。
細い腰を抱く左手に力を込めて、一層、身体を密着させる。
ーーーーあ、やばい、な。これだと自分の心臓がうるさい。
それでも優秀な右手が、サラリと溢れる銀糸を耳に掛けてやる。指先で耳輪を撫でて、頬の輪郭をなぞると、小さな顎に辿り着く。
親指で柔らかな唇に触れ、フニっと遊ぶ。
ここで少しでも嫌がれば、直ぐ様止める事も出来ただろうが、ギルベルトの大切なお姫様は驚くだけで、拒絶をしない。
どうしよう、止まらなくなった。
もう一度耳に触れ、その後ろを擽るように指を這わせれば、擽ったそうに腕の中で身を攀じる。
ふふっと笑うエルが可愛すぎる。
そっと顎を持ち上げて、瞳を合わせれば、ほんのりと顔を赤くする姿に、内心で身悶えまくった。
また唇をなぞる。
「食べたら甘そうだな」
目を丸くするエルをよそに、フニフニと弄る唇は、絶対甘いと思う。
あと少し指先をずらせば、僅かに開いた口の中に入る、ギリギリのライン。
食べたいな、いいかな、いいよな。
偶々、流星群が降る日に、大人サイズに戻った。
どういう原理なのか、今度母上に会ったら聞いておかないといけないな。
元の姿に戻ったのなら、エルを連れて大空を翔ける事なんか、造作もない事だ。
『観られるの?空で?!凄い!みたい!』
そう言われしまえば、ギルベルトに否やはない。ついでにギュウギュウと抱きしめられるのだから、お得である。
ご褒美貰ってもいいよな?
薄く開いた口の中、小さな赤い舌が見え隠れして、視線が吸い寄せられる。
また少し開かれた唇。
うん、いただきます。
顔を傾けて、そっと寄せた。
ーーーーんだが。
口が少し開かれた、と思ったら、大きくパックリ、可愛いお口が開いて、ギルベルトの親指がカプリと食べられた。
「ーーーー!?!?」
やられた。
ドヤァな顔で、エルディアーナはギルベルトの親指を甘く噛む。
してやったり、悪戯をやり返したと、本人は思っているのだろうが、コレはーーーー流石にマズイ。
直ぐ外されたが、ジンと甘い痺れが残る。
凶悪なまでに可愛い仕返しに、グッと堪えて、エルディアーナの頭を、己の肩口に押し付けた。
すみません、この子、やばいんですが!?
対ギルベルト用の、最終兵器だ。
絶対に負ける気しかしない。
「ーーーーそろそろ戻るぞ」
「え、もう?」
ギルベルトの保護結界があるが、何時もなら既に就寝している時間なのだ。
「また今度、連れて来てやるから」
肩口から顔を上げて、拗ねた表情を見せるエルの唇をチョン、と摘む。アヒル口も可愛い。
「今度って、いつ?」
「エルが望むならば、いつでも。空くらい、いくらでも連れて、翔けてやる。ああ、体調が良ければ、な?」
自分は、もうエルディアーナからは離れないのだから。
ギルベルトはコツン、と額を合わせて約束する。
すると、エルディアーナがスリ、と頬を合わせて、嬉しそうに笑う。
この仕草は人形でいる時と、変わらないな。
肌のお手入れをしておいて、よかった!
チクチクしてたら、きっとして貰えない。
ギルベルトはエルディアーナを抱え直すと、帰る為に夜空を翔けた。
俺だって名残惜しいがな。
ちょっとヤバイかもしれない、落ち着こう、ギルベルト。
やれば出来る筈だ。いや、そっちのやるじゃ無い。やらない方のやる、だ。
何言ってるのか、わからなくなっているが、うん、エルの部屋に戻った途端に、人形に戻ったのは良かったーーーーんだよな。
••••••多分。
寝台に潜り込んで、直ぐに寝てしまったエルディアーナの顔を覗き込む。
駄賃代わりに、チョン、と口付けて、ギルベルトもいつもの場所で眠りに付いた。
濃紺の天鵞絨が広がる夜空は、主を冬の星座から春を司る乙女に代えた。
その瞬間を見守っていたギルベルトは、腕の中で流星群に、みとれているエルディアーナに幸福を知る。
満天の星がざわめく空の上、地上の灯りは弱く儚く、暖かい。
王都の灯りを遙か眼下に見下ろして、ギルベルトはコッソリと、愛しい少女の旋毛に口付けた。ギュッと抱き締める事も忘れない。
「ーーーーギル?」
不意に加わった腕の力に、エルディアーナが振り仰ぐ。
大人しく腕に身体を預ける少女は、ギルベルトに対してどこまでも無防備だ。
その絶対の信頼感が、ギルベルトに悪戯を思い付かせた。少しは自分を男と意識すればいいと。
細い腰を抱く左手に力を込めて、一層、身体を密着させる。
ーーーーあ、やばい、な。これだと自分の心臓がうるさい。
それでも優秀な右手が、サラリと溢れる銀糸を耳に掛けてやる。指先で耳輪を撫でて、頬の輪郭をなぞると、小さな顎に辿り着く。
親指で柔らかな唇に触れ、フニっと遊ぶ。
ここで少しでも嫌がれば、直ぐ様止める事も出来ただろうが、ギルベルトの大切なお姫様は驚くだけで、拒絶をしない。
どうしよう、止まらなくなった。
もう一度耳に触れ、その後ろを擽るように指を這わせれば、擽ったそうに腕の中で身を攀じる。
ふふっと笑うエルが可愛すぎる。
そっと顎を持ち上げて、瞳を合わせれば、ほんのりと顔を赤くする姿に、内心で身悶えまくった。
また唇をなぞる。
「食べたら甘そうだな」
目を丸くするエルをよそに、フニフニと弄る唇は、絶対甘いと思う。
あと少し指先をずらせば、僅かに開いた口の中に入る、ギリギリのライン。
食べたいな、いいかな、いいよな。
偶々、流星群が降る日に、大人サイズに戻った。
どういう原理なのか、今度母上に会ったら聞いておかないといけないな。
元の姿に戻ったのなら、エルを連れて大空を翔ける事なんか、造作もない事だ。
『観られるの?空で?!凄い!みたい!』
そう言われしまえば、ギルベルトに否やはない。ついでにギュウギュウと抱きしめられるのだから、お得である。
ご褒美貰ってもいいよな?
薄く開いた口の中、小さな赤い舌が見え隠れして、視線が吸い寄せられる。
また少し開かれた唇。
うん、いただきます。
顔を傾けて、そっと寄せた。
ーーーーんだが。
口が少し開かれた、と思ったら、大きくパックリ、可愛いお口が開いて、ギルベルトの親指がカプリと食べられた。
「ーーーー!?!?」
やられた。
ドヤァな顔で、エルディアーナはギルベルトの親指を甘く噛む。
してやったり、悪戯をやり返したと、本人は思っているのだろうが、コレはーーーー流石にマズイ。
直ぐ外されたが、ジンと甘い痺れが残る。
凶悪なまでに可愛い仕返しに、グッと堪えて、エルディアーナの頭を、己の肩口に押し付けた。
すみません、この子、やばいんですが!?
対ギルベルト用の、最終兵器だ。
絶対に負ける気しかしない。
「ーーーーそろそろ戻るぞ」
「え、もう?」
ギルベルトの保護結界があるが、何時もなら既に就寝している時間なのだ。
「また今度、連れて来てやるから」
肩口から顔を上げて、拗ねた表情を見せるエルの唇をチョン、と摘む。アヒル口も可愛い。
「今度って、いつ?」
「エルが望むならば、いつでも。空くらい、いくらでも連れて、翔けてやる。ああ、体調が良ければ、な?」
自分は、もうエルディアーナからは離れないのだから。
ギルベルトはコツン、と額を合わせて約束する。
すると、エルディアーナがスリ、と頬を合わせて、嬉しそうに笑う。
この仕草は人形でいる時と、変わらないな。
肌のお手入れをしておいて、よかった!
チクチクしてたら、きっとして貰えない。
ギルベルトはエルディアーナを抱え直すと、帰る為に夜空を翔けた。
俺だって名残惜しいがな。
ちょっとヤバイかもしれない、落ち着こう、ギルベルト。
やれば出来る筈だ。いや、そっちのやるじゃ無い。やらない方のやる、だ。
何言ってるのか、わからなくなっているが、うん、エルの部屋に戻った途端に、人形に戻ったのは良かったーーーーんだよな。
••••••多分。
寝台に潜り込んで、直ぐに寝てしまったエルディアーナの顔を覗き込む。
駄賃代わりに、チョン、と口付けて、ギルベルトもいつもの場所で眠りに付いた。