最期の遠出
 普段見ることができない大きな物。それに私はわくわくする。




「ねえ手つないでいい?」




 だからこういうことも言える。地元とは別世界のようなここではきっと、恋人関係でない私達が手をつないでも許されるはず。 




「いいよ。誰も見ていないし」




 近くにある歩道橋を見つめている好きな人は、軽くうなずいた。




 そこで私は好きな人の手をぎゅっとにぎる。




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