結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
タクシーでマンションに帰り、10階でエレベーターを降りる。
私の部屋に行く為には先生が住んでいた1001号室の前を通らなければいけなかった。

足が1001号室の前で止まる。
先生がいないとわかっているけど、手がインターホンに伸びた。

ピンポーンとインターホンの音が響く。
当然、応答はない。

先生に会いたくて、もう一度インターホンを押した。
何の意味のない事をしているのはわかっていた。それでも、押さずにはいられなかった。もしかしたら先生がいるかもしれない。奇跡が起きるかもしれない。そう願った。

でも、応答はない。

だよね。そんな事ある訳ないよね。

ため息をついて、1001号室の部屋の前を通り過ぎる。

ガチャ。

背中でドアが開く音がした。

えっ……。

振り向いた瞬間、大きな何かが私を抱きしめた。
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