結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
起き上がった瞬間、ズキッと頭が痛む。
ベッドに座った姿勢で思わず頭を抱える。

「その頭痛は二日酔いだからですよ。どうぞ」

先生がペットボトルに入った水と、頭痛薬をくれた。

「……すみません」

ゴクッと錠剤と一緒に水を飲む。

「もう少し休んでいなさい」

先生はベッドの縁に座って、心配するように私を見る。
先生の視線を感じて鼓動が速くなる。

「桜子」

急に名前を呼ばれてびっくりした。
今、先生、九条さんではなく、桜子って呼んだ?

「結婚しよう」

……け、結婚!
先生、からかってるの?

「な、何をいきなり! からかうのはやめて下さい!」
「僕にプロポーズしといて忘れたんですか?」

心臓が飛び出そうになった。

「ぷ、プロポーズ!」
「僕に恋愛感情のない結婚でもいいから結婚してと迫ったのは桜子ですよ」

なんて事をしたの私! 全然覚えていない。

「あ、あ、あの……それは、多分、酔った勢いというか……」
「君は酔った勢いで僕にプロポーズしたんですか? 酷い人だ。僕の心を(もてあそ)ぶなんて」

先生が大げさに傷ついたと言わんばかりの顔をする。その顔は絶対に傷ついていない。だって、先生、口元が笑ってるもん。
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