結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「冗談はやめて下さい!」
「冗談ではないですよ。君から結婚を迫られて僕は真剣に考えたんですよ。そして今、その返事をした訳です」
「だって先生、結婚するんでしょ?」
「はい。桜子と結婚しますよ」
「いや、そうじゃなくて、その、政略結婚を」
「西園寺さんの事ですか。そっちは何とかするので心配しないで下さい」

ニコニコと微笑んだ先生がどこまで本気かわからない。
冗談なの? それとも本当に私と結婚するの?

……というか、私、本当に先生に結婚を迫ったの? 先生、仕組んでないよね?

「僕の言葉が信じられない?」

端整な顔がいきなり近づいて、ドキッとする。

後ろに逃げようとしたらヘッドボードに背中が当たった。逃げ場がない。どうしようと思った時、先生は面白がるようにさらに近づき、私を囲うように両腕をベッドの上に置いた。

ネイビーのセーター越しの先生の胸と白いカットソー越しの私の胸が微かに触れる距離に呼吸が止まりそう。

いくらなんでも近すぎる。先生から発せられる体熱や、甘い匂いや、息遣いをありありと感じて、心臓が落ち着かない。
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