結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「せ、先生……! ち、近い」
「桜子が逃げないように囲ってるんです」
「逃げませんから」
「僕にプロポーズしたって認めますね?」
「それは……」

答えに詰まる。だって覚えてないんだもん。
でも、先生に物凄く会いたかった気持ちは記憶にある。

「……先生のいじわる」

睨むと、フッと切れ長の目が笑う。そして、信じられない事に私の額に先生が口づけた。柔らかな唇の感触がして、心臓が跳ね上がる。

「な、何するんですか!」
「あまりにも桜子が可愛かったから」

今度は先生の唇が私の頬に押し当てられる。
チュッとリップ音を立て、さらに反対側の頬にもキスをし、切れ長の目が最後に私の唇を見た。

視線を感じて唇が熱い。
まさか、先生、私にキスしようと思ってないよね?
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