結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「とにかく桜ちゃんが藤堂さんと結婚すればいいのよ。藤堂さんの意志を確認したら、桜ちゃんと結婚してもいいと言ってくれたの。藤堂さんと結婚すれば藤堂建設から大口の仕事をもらえて、九条建設は倒産しないで済むのよ」

藤堂に私と結婚する意志を聞くとは思わなかった。あきれて言葉が出て来ない。

「桜ちゃん、藤堂さんの話はまだ生きているから一刻も早く結婚してちょうだい」

絶対に嫌。瑠璃さんの思い通りになんかならない。

「嫌です」
「九条建設が倒産していいと言うの? 百人の社員を路頭に迷わせるの?」

社員を路頭には迷わせない。私のやり方で倒産の危機を乗り越えてみせる。
これでも私は銀行員なのよ。

「私に財務諸表を見せて下さい。銀行員の目で九条建設が本当に倒産の危機にあるかチェックします」
「桜子、見てくれるのか?」

父が私を見る。

「銀行で新しく融資が受けられるか検討してみる」
「ありがとう。助かる」

父が深々と頭を下げる。頭を下げられるとは思ってもみなかった。

「あなた騙されちゃダメよ! この子は信用させて裏切る気よ。あなたの事を恨んでいるんだから。あなたが家にいなかったせいで、お母さんは死ぬ事になったんだってこの子は今でも思っているのよ!」

何の話? 初めて聞くんだけど。
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