結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
瑠璃さんを睨むと、勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「今頃気づいたの? 桜ちゃんはやっぱりどんくさいわね」

不倫しておいて開き直るんだ。腹が立つ。

「母の墓前で土下座して下さい!」
「土下座したら藤堂さんと結婚してくれるの?」

はあ? 何言ってるの?

「する訳ないでしょ!」
「だったら絶対に土下座するもんですか! 私は悪くないわよ。夫を取られた方が悪いのよ」

母を貶める言葉は聞き捨てならない。
カアッと怒りで胸が熱くなり、手を振り上げる。その時、横から伸びて来た手がパンッと勢いよく瑠璃さんの頬を平手打ちした。

きゃっと言った瑠璃さんが打たれた衝撃で床に倒れる。

瑠璃さんの頬を叩いたのはベッドの上で膝立の姿勢になった父だった。
建設会社社長らしい強面の容姿だけど、手を上げるような人じゃないから驚いた。
しかも瑠璃さんには頭が上がらない感じだったのに……。

「あなた」

瑠璃さんが頬に手を当て、信じられないものを見るような目を父に向けた。
かなりの精神的なショックを受けたように見える。今まで好き放題だったんだから当然かもしれない。
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