結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

先生の気持ち

どんなに辛い事があっても朝はやって来るんだと思った。
先生に大嫌いだと言った次の日、いつもの時間にベッドから起きて仕度をする。
パジャマのままヨーグルトを一口食べ、顔を洗い、歯を磨いて、通勤着に着替える。
白カットソーとその上に灰色のカーディガンを着る。下は無難な黒パンツ。

後はメイクをすればいい。
ドレッサー前に座り、腫れぼったい目にメイクする。
泣いたせいで酷い顔。昨日は涙が枯れるんじゃないかと思う程泣いた。

気を抜くと先生の事を考えてしまう。
ダメ、ダメ。先生の事はもう忘れるの。

鏡に映る私に言い聞かせた。

スマートフォンの電源は先生と電話をしたのを最後に切っていた。
先生から電話がかかってくる気がしたから。

思い切って電源を点ける。
スマートフォンが起動する。

何かメッセージがあるかと思ったけど、何もなかった。

笑っちゃう。こんな物だよね。あそこまで言われて私に縋る理由、先生にないものね。
電源を切ったのは自意識過剰だったかも。

仕事に行こう。
キャラメル色の春物のコートを羽織り、鞄を持って玄関ドアを開ける。

ドキッとした。
ドアの外に腕を組んだ先生が立っていた。
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