結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
今日は先生と再会した時に着ていたミッドナイトブルーのワンピースを着た。
ワンピースの上にコートを羽織ってベリが丘港に行く。

午後五時。待ち合わせた船の乗り場まで行くけど、先生の姿はまだない。
電話もつながらなかった。先生は移動中かもしれない。

とりあえず手荷物検査の列に並び、係の人に一泊分の荷物が入った旅行鞄を預け、乗船するベリー号に向かって歩く。

全長241m、全幅29m、総重量5万トンのベリー号は日本最大級の豪華客船らしい。
近くで見ると迫力がある。

本当にこれに乗るの?

船の大きさに驚いていると、「九条様」という声がかかった。
振り向くと黒スーツ姿の女性が立っていた。

「九条桜子様でいらっしゃいますか?」
「はい。そうですが」
「乗船の手続きを致しますので、どうぞこちらへ」

女性に連れられ、VIP専用らしき入り口からベリー号に入り、広いラウンジに案内される。
レセプションカウンターでみんなチェックインの手続きをしているようだった。

「乗船チケットはございますか?」

カウンターに入った女性に聞かれた。
先生にもらったベリー号の乗船券を差し出す。

「本日はベリー号をご利用いただきありがとうございます。出港は午後5時半です。伊豆までクルージングし、翌日の午前11時頃ベリー港に戻ってくる予定となっております」

伊豆まで行くんだ。楽しみだな。
でも、先生はまだ来ていない。大丈夫かな? もう出港まで30分切っているけど。
< 164 / 173 >

この作品をシェア

pagetop