結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
クローゼットを見ると先ほど預けた私の旅行鞄が置いてあった。
荷物は届いているけど、先生が来ない。どうしたんだろう?

落ち着かなくて、リビングをぐるぐる回っていると、出港の時間だというアナウンスが流れた。

先生、本当にどうしたの?
まさか来れなくなったの?
西園寺グループとの業務提携がなくなったと聞いたけど、西園寺詩織さんとは別れられなかったの?

次々に不安な事が浮かぶ。

でも、私は先生を信じると決めたんだもの。こんな事で揺れてはいけない。
一人だっていいじゃない。豪華な船旅を楽しまなきゃ。

そう思った時、ガチャッと部屋のドアが開く。

視線をリビングの入り口に向けると、大きな赤い薔薇の花束を抱えた先生が立っていた。

「桜子、待たせたね」

私の前まで歩いて来た先生が、赤い薔薇の花束を差し出す。
見た事ない程の大きさに驚いた。
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