結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
洋ナシのシャルロット、苺たっぷりのショートケーキ、フルーツタルト、ミックスベリーのケーキと、美味しそうなケーキの名前が並ぶ。名前を見ているだけで癒される。最後に目に留まったのはチョコレートケーキだった。
「チョコレートケーキでお願いします」
「いい選択ですね」と言って、先生は私のチョコレートケーキをオーダーしてくれた。すぐにチョコレートケーキと先生が頼んだミックスベリーのケーキが運ばれて来た。
飲み物は先生も私もブレンドコーヒー。
テーブルの上に女性スタッフが丁寧に置いてくれた。
お皿の上の長方形のチョコレートケーキを見て頬が緩む。チョコ生地のスポンジの間にチョコレートムースが挟まり、一番上はチョコレートクリームでデコレーションされていた。シンプルな見た目だけど、これは職人さんの技が光一品。
そして先生のお皿に乗る長方形のミックスベリーのケーキは、チョコ生地のスポンジの上にピンク色のムース。一番上はルビー色のゼリーでコーティングされていて、見た目が可愛い。
「一口、食べますか?」
私の視線を感じて先生が食べる前のケーキのお皿を私の前に置いてくれた。
「いいんですか?」
「どうぞ」
「ありがとうございます」
一口分だけフォークで切って、口に運ぶ。
口の中に甘酸っぱいベリーの味とチョコスポンジが広がる。美味しい!
「いい顔で食べますね」
先生が私を見てクスッと笑った。
「ケーキは好物なので。先生もチョコケーキどうぞ」
お返しに私もまだ口をつけていないチョコレートケーキのお皿を先生に差し出した。
「遠慮なくいただきます」
先生が私が食べた一口分よりも小さくケーキをすくって食べる。その姿が美しい。一目で先生は上流階級の人間だとわかるぐらい、食べた方が上品だ。どこかの御曹司だって聞いた事がある。真偽はわからないけど、先生にはそういう雰囲気が漂っている。
「丁度いい甘さですね」
先生は優雅な仕草で私の前にお皿を戻した。
「ところで、九条さん。今日はどうしてホテルにいたのですか?」