結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「先生の資産を私に教えていいんですか?」
「桜子と結婚したいから必死なんです。健康診断書もお見せしましょうか?」

どこまで本気なんだろうと思っていたら、スマートフォンを操作した先生が今度は健康診断の結果を表示した。

先生は健康なようだ。

「桜子どうです? 僕の経済状況と健康状況は問題ないと思いますが」
「私は借金がありますよ。大学の学費を今も払っています。こんな私で本当にいいんですか?」
「桜子がいいんです。僕には桜子しかいないんです。それに桜子の借金は僕が払ってあげますよ」
「絶対に嫌です。結婚前の借金は自分でちゃんと返済します」
「結婚前って言いましたね。その言い方は僕と結婚する意志があるって事ですよね?」

先生にじっと見つめられて緊張する。

「まあ、先生が良ければ」

ぐしゃっと胸に抱えた薔薇の花束ごと先生に抱きしめられる。

「先生、苦しい」
「もう絶対、離さない」

耳元に掠れた先生の声が響いた。
先生、泣いてる?

顔を上げると、私を抱きしめながら、指先で軽く涙を拭う先生がいた。
胸が熱くなる。涙が出る程、私を好きでいてくれたんだ。

先生に愛されて幸せ。

「私もです。先生を離しませんから」

先生が驚いたように目を見開く。
その顔が可愛い。背伸びをして、先生の唇に短くキスすると、先生の頬が赤くなった気がする。

わっ、先生、照れてる。

「先生も照れるんだ」
「桜子が可愛い事をするから……あっ!」

ハッとしたような顔を先生がする。
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