結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「娘さんも結婚に乗り気だというから会ったんですよ」
「藤堂さん、すみません。娘は男性にあまり慣れていなくて、恥ずかしかったようです。決して、結婚したくないという訳ではありませんから」

はあ? お父さん、何言ってるの!
私、ハッキリと断ったよね。

「本当は姫香さんを紹介して欲しいと頼んだんですがね」
「姫香はまだ学生ですから」
「大学生でしたよね。結婚できる年じゃないですか」
「お恥ずかしい話。姫香は家事があまり出来ないので、藤堂さんに苦労かけてしまうと思います」

お父さん。妹の姫香の代わりに私を藤堂に差し出したんだ。酷い。

「姉の桜子は姫香と違って家事はできますから。実は一人暮らしをしているんです。ですから家事はひと通りできます」
「一人暮らしなんですか。若い娘さんの一人暮らしは心配ですね。時々、様子を見に行ってあげましょうか」

藤堂の言葉にゾッとした。絶対に来て欲しくない。

「藤堂さん、ありがとうございます。桜子も喜ぶと思いますよ。どうぞ訪ねてやって下さい」

勝手な事を言わないで欲しい。腹が立つ。そう思った時、ガタッと物音がした。向かい側を見ると先生がいない。先生は父の側に立っていた。

「娘さんは今日のお見合いを断ったはずですが」

先生が父に話しかける。
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