結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「誰だあんた?」

父が先生を見た。

「九条桜子さんの知り合いです」
「もしかして桜子と付き合っているのか?」
「そう受け取ってもらっても構いませんよ」

父が笑った。
ちょっと先生、何やっているの?

「桜子と別れろ。桜子はこちらの藤堂さんと結婚するんだ」

ダンッと大きな物音がした。
先生が父のテーブルを叩いた音だった。

「桜子さんの意志を無視するんですか? 桜子さんはあなたの道具ではないんですよ!」

先生が声を荒げる程、怒ったのを初めて見た。

「桜子さんとは絶対に別れません」
「話にならん。あんたが何を言おうが桜子は藤堂さんと結婚するんだ。それが桜子の幸せなんだ」
「呆れるほど自分勝手な方ですね。あなたのような父親を持った事が桜子さんの不幸です。彼女は僕の手で幸せにしますから」

私を幸せにするって、先生、父に何を言うの……。

「お前のような優男(やさおとこ)に桜子はやらんと言っているだろう! 桜子は藤堂さんと結婚するんだ!」
「そうですか。でも、遅かったですね。彼女とはさっき入籍を済ませて来ましたから」

はあ? 先生、勝手な事を言って!
< 24 / 173 >

この作品をシェア

pagetop