結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「嘘だ!」
「嘘ではありませんよ」
「貴様!」

父が立ち上がって先生の胸倉を掴む。

「放して下さい」
「桜子から手を引け!」

父が怒鳴った時、黒スーツの男性が慌てたようにやって来た。

「お客様、どうされましたか」
「この男が騒ぎ立てたんだ。こんな失礼な奴がVIPだなんて全く信じられん」

父が先生の胸倉を掴んだまま黒スーツの男性に言った。

「藤井さん、こちらの方はラウンジの客として相応しくないようです。もうここには入れないで下さい」

先生が黒スーツの男性に言った。

「何だと! 相応しくないのはお前だ! 人の娘を奪っておいて、こいつ」

父が拳を振り上げる。その拳を先生が避けて、父の腕を掴んだ先生が後ろ手に捻り上げた。
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