結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
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日曜日は舞子が主催するお菓子教室があった。場所は舞子のご主人、山崎洸太さんが経営する【白ねこカフェ】の2階。生徒は20名。今回のテーマがバレンタインデーに贈るチョコシフォンケーキだったから、受講生は若い女性が多い。
私もお菓子作りは好きなので、時々舞子の教室を手伝っている。材料の計量が終わり、いよいよ作業に入る。まずは110グラムの板チョコを湯煎で溶かす。溶かしたチョコには大さじ1の油を混ぜ、置いておく。次に5個分の卵黄をグラニュー糖と混ぜる。ハンドミキサーで10分混ぜるのがコツだ。ここが上手く行くとフワフワの生地が出来る。
「皆さん、空気を混ぜるように卵黄は混ぜて下さいね」
ピンク色のエプロン姿の舞子が生徒さんに指示を出した。ハンドミキサーのモーターの音が教室中に響いていて、ちょっとうるさい。
「あっ、田中さん、下から上へ混ぜる感じで」
私が担当している初心者の方に声をかけた。
「泡を潰すんじゃなくて、泡立てて下さい」
「泡立てているんですけど、上手く出来なくて、ハンドミキサー重いし、やって下さい」
いきなりボウルとハンドミキサーを渡された。
せっかく習いに来ているんだから、自分でやらないともったいないと思うんだけどな。
「じゃあ、見てて下さいね」
中速にしたハンドミキサーで卵黄とグラニュー糖を混ぜる。泡を消さないようにボウルの底から上に向かうようにハンドミキサーを動かす。
「うわっ、ふわふわになって来た」
「田中さん、続きやってみて下さい」
ボウルを渡すと、今度は泡を潰さないようにハンドミキサーを動かしてくれた。理解してくれたようで良かった。
二時間のお菓子教室が終わり、舞子と後片付けをしながら、舞子の娘の葵ちゃんの話を聞く。葵ちゃんは今年幼稚園に入った。もう好きな男の子がいると聞いてびっくりした。
「葵ったら、シュン君と結婚するって大騒ぎなの」
舞子が困ったように笑う。色白の丸顔で少しぽっちゃりしている舞子は可愛らしい人だ。
「葵ちゃん、4歳になったばかりなのに、もう結婚願望があるの?」
「多分、結婚ってよくわかってないのよ。それよりお父さんと会ったんでしょ? どうだった?」
洗った調理器具を拭きながら、舞子が心配そうな目を向けてくる。
「相変わらずの人だった」
「相変わらずって?」
「自分の都合しか考えない人」
藤堂さんとのお見合いだった話をすると、舞子が驚いたように両眉を上げる。
日曜日は舞子が主催するお菓子教室があった。場所は舞子のご主人、山崎洸太さんが経営する【白ねこカフェ】の2階。生徒は20名。今回のテーマがバレンタインデーに贈るチョコシフォンケーキだったから、受講生は若い女性が多い。
私もお菓子作りは好きなので、時々舞子の教室を手伝っている。材料の計量が終わり、いよいよ作業に入る。まずは110グラムの板チョコを湯煎で溶かす。溶かしたチョコには大さじ1の油を混ぜ、置いておく。次に5個分の卵黄をグラニュー糖と混ぜる。ハンドミキサーで10分混ぜるのがコツだ。ここが上手く行くとフワフワの生地が出来る。
「皆さん、空気を混ぜるように卵黄は混ぜて下さいね」
ピンク色のエプロン姿の舞子が生徒さんに指示を出した。ハンドミキサーのモーターの音が教室中に響いていて、ちょっとうるさい。
「あっ、田中さん、下から上へ混ぜる感じで」
私が担当している初心者の方に声をかけた。
「泡を潰すんじゃなくて、泡立てて下さい」
「泡立てているんですけど、上手く出来なくて、ハンドミキサー重いし、やって下さい」
いきなりボウルとハンドミキサーを渡された。
せっかく習いに来ているんだから、自分でやらないともったいないと思うんだけどな。
「じゃあ、見てて下さいね」
中速にしたハンドミキサーで卵黄とグラニュー糖を混ぜる。泡を消さないようにボウルの底から上に向かうようにハンドミキサーを動かす。
「うわっ、ふわふわになって来た」
「田中さん、続きやってみて下さい」
ボウルを渡すと、今度は泡を潰さないようにハンドミキサーを動かしてくれた。理解してくれたようで良かった。
二時間のお菓子教室が終わり、舞子と後片付けをしながら、舞子の娘の葵ちゃんの話を聞く。葵ちゃんは今年幼稚園に入った。もう好きな男の子がいると聞いてびっくりした。
「葵ったら、シュン君と結婚するって大騒ぎなの」
舞子が困ったように笑う。色白の丸顔で少しぽっちゃりしている舞子は可愛らしい人だ。
「葵ちゃん、4歳になったばかりなのに、もう結婚願望があるの?」
「多分、結婚ってよくわかってないのよ。それよりお父さんと会ったんでしょ? どうだった?」
洗った調理器具を拭きながら、舞子が心配そうな目を向けてくる。
「相変わらずの人だった」
「相変わらずって?」
「自分の都合しか考えない人」
藤堂さんとのお見合いだった話をすると、舞子が驚いたように両眉を上げる。