結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「うそ……。20歳年上バツイチだなんてありえない」
「やっぱりそう思うよね」
「当たり前よ。私が桜子の親だったら、そんな奴と、うちの大事な娘は絶対に結婚させないって怒るよ」
「舞子、ありがとう」

私を心配してくれる舞子の言葉が嬉しい。
舞子とは大学で知り合って、お菓子作りが共通の趣味だったから仲良くなった。

「桜子、ちゃんと断ったよね?」
「うん。まあ」
「何、その曖昧な感じ」
「実はね、もう一つ困った事があって、その……」

北沢先生の事を言おうか迷う。

「何?」
「いや、何でもない」

やっぱり先生にプロポーズされた事は言えない。

「本当に?」

舞子が切れ長の目でじっと見てくる。

「隠し事してるでしょ?」
「隠し事なんてないよ。ただ、北沢先生と偶然会ったってだけで」

思わず北沢先生の名前を言ってしまった。
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