結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
本を持って窓際の奥のカウンター席に移動する。この場所は人があまり来ないから集中して作業が出来た。よく調べ物をしたり、提出するレポートを書いた。今日もとても静かだ。ここなら読書に集中できる。だけど、文字を追っていたら、だんだん瞼が下がってくる。

昨夜は先生の事ばかり考えてしまい、あまり眠れなかった。なんか心地いい。眠ってしまいそう。少しぐらい大丈夫かな。そう思った時、完全に瞼が落ちた。

九条さん。

誰かにそう呼ばれた気がした。

九条さん。

この声は北沢先生?

九条さん。

ハッとして目を開けた。目の前に机に肘をついてこっちを見下ろす北沢先生の顔がある。あれ? なんで先生がいるの? これは夢?

そっと先生に手を伸ばすと先生が驚いたように肩をビクッとさせた。先生の頬に触れると先生の顔が赤い。先生、照れてるの? 可愛い。

ふふっ、と笑って今度は先生の手の甲に頬ずりをする。一度やってみたかった。夢だから何でもできる。先生がまた驚いたようにビクッとしている。そんなに驚かなくてもいいのに。

先生の驚いた顔が新鮮。
幸せな夢だな。

先生、私ね、本当は先生の事が……。
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