結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

帰宅してからは住む場所を探さなきゃいけなかった。ネットでベリが丘タウン通勤圏の物件を探した。ベリが丘タウンと、その周辺は人気エリアで家賃は今住んでいる所よりもかなり高い。

築年数20年以上のアパートなら出てくるけど、防犯の事を考えるとアパートよりもマンションが望ましい。できればオートロックがいい。藤堂が訪ねて来る事はないと思うけど、父とのやり取りを聞いてゾッとしてしまった。アパートだったら簡単に入られてしまいそう。しかし、今の予算でオートロックは無理だ。

大学の学費と四年分の家賃を父に返済する為に借りた銀行のローンがまだ二百万円以上残っているから出費は抑えたい。貯金もギリギリ引っ越し費用が工面できる程しか残っていない。一層の事、引っ越しはせず、ここから通った方がいいだろうか。しかし、往復四時間はきつい。銀行の独身寮が空いていれば一番いいんだけどな……。

次の日、総務に独身寮について問い合わせると、希望するエリアの物件は既に埋まっているとの回答だった。物件が空き次第連絡を頂けるようにお願いをした。二月、三月は転勤シーズンで物件の空きが出る可能性は十分にあった。まだ希望を捨ててはいけない。

ふと、ベリが丘タウン通勤圏に住んでいる知り合いはいないだろうかと思った。

――北沢先生ってベリが丘タウンに住んでるって聞いた事がある。

舞子の言葉を思い出した。