結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

新居

翌日、先生と約束したベリが丘駅の改札口で先生を待っていると、グレーのパンツスーツの小柄な女性に話しかけられた。

「九条桜子様ですか?」

初めて見る顔だった。年齢は四十代ぐらい。感じの良さそうな人だ。

「私、北沢不動産の鈴木と申します」

名刺を受け取った。

【北沢不動産・ベリが丘支店長 鈴木陽子】

「支店長さんですか!」
「はい。支店長をさせて頂いております。今日は私が九条様を物件にご案内いたしますので、よろしくお願いいたします」
「物件って、賃貸マンションの?」
「そうです。北沢海人様から九条様をご案内するように言われております」

という事は今日は先生来ないのか。そうだよね。先生だって忙しいよね。

はあ。

「九条様、どうされました?」
「い、いえ。何でもありません。よろしくお願いいたします」
「では、参りましょう」

鈴木さんに促されて南口に出ると、駅前のロータリーにキラキラと黒く光るセダンが停まっている。あれはレクサス!

まさか高級車で出迎えられるとは思わなかった。昨日も不動産屋さんの車に乗せて頂いたけど、軽自動車だった。車のレベルが違い過ぎて戸惑う。
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