結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「どうぞ」

車から降りた鈴木さんが後部座席のドアを開けてくれた。
年上の鈴木さんに車のドアを開けてもらうのが何だか申し訳ない。

「ありがとうございます」
恐縮しながら降りた。

「こちらです」
私の前を歩く鈴木さんについて行き、マンション内に入った。

自動ドアの先にはインターホンと部屋番号を打ち込むパネルがあった。鈴木さんがパネルの所にあるセンサーにカードをかざすと、奥の自動ドアが開く。

「こちらカードキーになっております。お部屋もこのカードキーで開けます」

カードキーなのか。複製されにくいから、防犯性が高いって聞いた事がある。このマンションのセキュリティはしっかりしていそう。

鈴木さんの後に続き、二番目の自動ドアを通った。天井の高い空間が広がっていた。お洒落なシャンデリアまでつり下がっていて、ホテルのロビーみたい。そして24時間対応のコンシェルジュまでいた。ちょっと待って。ここって高級マンションだよね? 私、住めるの? 絶対に私が払える家賃だとは思えないんだけど。

「九条様、こちらです」

シャンデリアを見上げていたら、鈴木さんが先に進んでいた。慌てて鈴木さんの所に行き、エレベーターに乗り込む。
そしてカードキーを鈴木さんがコントロールパネルのセンサーにかざす。

「10階に行くにはこのカードキーが必要ですので、エレベーターに乗ったら必ずセンサーにタッチして下さい」

という事は10階に住んでいない人は10階に行けないって事か。セキュリティが高いのは安心だけど、ますます私が住めるレベルだとは思えない。本当に家賃6万円? それともマンションの設備が豪華なだけで、部屋は大した事ないのかな。物置みたいな所だったりして。

不安に思っていると、エレベーターが10階に到着した。
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