結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
「他にございますか?」

注意深く契約書を見るけど、他に気になる箇所はない。

「大丈夫です」
「では、重要事項のご説明をさせて頂きます」

鈴木さんが宅建の免許を見せ、説明を始める。説明に何一つおかしな点はない。大丈夫だ。
カウンターの上で書類を記入した。先生から契約に必要な道具を持って来るように言われていたので、ちゃんと印鑑を持参していた。

「これで契約完了です」

契約書の控えを私に渡すと鈴木さんが言った。
頬が緩んじゃう。こんなにいいお部屋に6万円で住めるなんて夢みたい。
先生にお礼を言わないと。ご飯ぐらい奢ってあげようかな。

「では、これから大家様の所にお連れしますが、お時間は大丈夫ですか?」

契約書を鞄に仕舞うと鈴木さんが言った。
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