結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました
金曜日はベリが丘支店の飲み会だった。
定時で仕事が終わった後、ツインタワーの高層階に入っているダイニングバーに連れて行かれた。
最近、出来たばかりの女子ウケするお店らしく、女性たちが楽しみだって盛り上がっていた。

今夜は一応、私の歓迎会らしい。
高層階行きのエレベーターに乗った時、最後にカップルが入って来る。

長身のチャコールグレーのスーツ姿の男性とアイボリーの上品なワンピースの若い女性。
女性に向かって親し気に話す男性の横顔を見て心臓が凍り付いた。

……北沢先生だ。

マンションですれ違ったのは3日前だった。
こんな偶然、神様は意地悪だ。

きっと先生たちはVIP専用のレストランにでも行くのだろう。
一番後ろに乗っているから先生は私に気づかない。

先生にバレないように顔を下に向けた時、「大丈夫?」と、隣に立っていた南係長に聞かれた。
「大丈夫です」と小さな声で答えた時、突き刺さるような視線を感じた。もしかして先生に気づかれた? と思った時、エレベーターがダイニングバーのある階に着く。

顔を下に向けて、先生から逃げるようにエレベーターから降りた。
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