結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました

先生の事を考えたくなくて、お酒を沢山飲んだ。カクテル5杯、ワイン1本、その後は何をどれ程、飲んだかわからない。南係長に「飲みすぎだよ」と止められるまで飲んだ。だってどんなに飲んでも酔えないんだもの。

先生の事を忘れたい。
先生が結婚するなんて嫌だ。

胸が引き裂かれそうで苦しい。

先生に会いたい。会いたいよ。

「九条さん、泣いているの？」

南係長が慌てたように言った。

「すみません。何でもないんです」
「南係長、九条さんに何言ったんですか」

吉岡さんが南係長を睨んだ。

「いや、飲みすぎだと注意しただけで」
「南係長は悪くありません。あの、私はこれで失礼します」

この場にいられる精神力はなかった。
会費を吉岡さんに渡して、逃げるようにダイニングバーを出た。