クズな君と恋したら
記憶
行かなきゃ、今日も。
あの子に会いに行って、いっぱい遊ぶんだ。
2人の気が済むまで、めいっぱい。
そして、日が暮れそうになったら「明日も遊ぼうね」そう言っておわかれするの。
だから、今日も___。
「もうここには来れなくなっちゃった」
「えっ?どうして?」
本当のわかれを知らない私たちに「本当のおわかれ」は突然訪れた。
あまりに唐突に、そして、残酷に。
「でも、また遊ぼう」
「……?うん!遊ぼう!」
また遊ぼうってことは、明日も遊べるってことだよね?
なぁんだ、いつも通りじゃん。
にっこりと笑顔を返すと、その子は毎日大切そうに腕に抱えていたぬいぐるみを私にくれた。
「寂しくないように!あげるっ」
青色のリボンが耳につけられた、真っ白なウサギのぬいぐるみ。
「くれるの?」
そう聞けば、その子は元気よく頷く。
「次に会う時まで、この子が守ってくれる!」
そんな眩しい笑顔と共に。
それなら、大切に、大切に持っておこう。
また会えるまで___。
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