クズな君と恋したら
波乱のパーティー
『本日はお集まりいただき、まことにありがとうございます。この場をお借りしまして___……』
ガヤガヤと賑わうパーティー会場内。
その中に、司会だと思われる男の人が、ペコペコと頭を下げながらステージの上で何か挨拶をしているものの、それを聞こうとする人はいない。
主催者でもない知らない人の話を聞く需要はないんだとみんな思ってるんだから。
しかも、今話しているのは倒産寸前の浮本グループ代表。
「あそこの娘さん、来ているのかしら」
「警察沙汰にはならなかったそうだが、まずい状態らしい」
「怖いわ。近づかない方がいいわねぇ」
……浮本さん、来てるのかな。
周りでコソコソと話している人たちに耳をすますけど、誰一人として浮本さんがどこにいるのか、ここへ来ているのかすらわからなかった。
もしも浮本さんに会ったとして、どんな顔をすればいい?
なんて反応したらいい?
「……はぁ」
あの日、浮本さんに崖から突き落とされた出来事を思い出して、思わず重いため息をついた。
冬休み明けも、学校に来ないつもりなのかな。
グラスに入ったオレンジジュースをひと口飲んだ時だった。
「わっ……」
いきなり背中に軽い衝撃が走ってバランスを崩した私は、動きにくいドレスとヒールのせいで体勢を保つことができずに、そのまま前のめりになって倒れそうになる。