クズな君と恋したら
や、やばい……!と、咄嗟に目を瞑った時。
「おっと、失礼。大丈夫ですか?」
受け止められる感覚と共に、頭上から降ってきた男性の声。
た、助かった……。
「大丈夫です……!ごめんなさい」
慌てて体勢を立て直して、受け止めてくれた人を見上げると、そこには背が高くて顔が整っている男性。
まるでモデルのように顔が小さくて、しかも金色の髪……。
どうやらこの人が私を助けてくれたらしい。
「君は瀬戸令嬢だね」
「は、はい……」
「お誕生日、おめでとう」
ぐ、と言葉に詰まる。
なんで知ってるの……?と言った目を向けると、彼は柔らかに微笑んだ。
「僕の上司が、君のことを言っていたんだ」
普段はそんなこと一言も言わないのに、って少しだけおかしそうに笑った後、私の頭にポンと手を置いた。
「あ、あの……」
「あぁ、申し遅れたね。僕は上司の代理でここにいる北斗って言うんだ」
北斗さん……って言うんだ……。
でも、どこの所属で……?
北斗さんみたいにかっこいい人、今までのパーティーでも見たことがないし、名前に覚えもない。
「仕事でここにいるんだ」
……それに。
グラスに入ったワインのようなものを飲み干す北斗さんを見上げると、目が合った。
「君を守れって、上司に言われてるから。安心してよ」
北斗さんの言う"上司"って、誰のこと……?