クズな君と恋したら
キス、されちゃった……。
それも、無理やり。好きな人でもないのに……っ。
人生で初めてのキス……だったのに……。
綾都の顔が頭に浮かんできて、どうしようもない悔しさと悲しさが交差する。
「ひぐっ……ぅ、ふ……っ」
止まることを知らない涙は、床に水溜りを作ってしまうくらいにボロボロとあふれてくる。
なんで……こんなことになってるの……?
「おぉ、抵抗する気もなくなったか?」
「ぎゃははっ!おい、さっさとやれよ」
「わかってる」
男に押さえつけられている手首を必死に動かそうとしていた私の手は、もうすでに力を失っていて、ぐったりと動かない。
もう、抵抗してもなんにもならない。
私は、知らない人にキスされてしまうような汚い人間で。
綾都にも、顔向けできない。
まずそんな私が、綾都のことを好きだなんて思っちゃダメなんだ。
……そうだ、死んじゃおう。
私が生きていても、周りの人たちまでが汚れちゃうんだよ……。
だから、これが終わったらそのまま死んでしまえばいいの。
感情なんて、いらないのに……。今はもう捨てなきゃいけないのに、どうしても綾都を思い出して、嗚咽が止まらない。