クズな君と恋したら
バンッ!!と、机を叩く音が部屋に響いた。
そして次の瞬間、目を疑うような光景が、私の心臓を握りつぶすかのように緊迫感を漂わせた。
「どうしたいわけ?そんなもん持って。俺のこと殺す勇気もないくせに」
「うるさい!」
何が……起こってるの……?
顔を真っ赤にして怒り狂った浮本さんの手には、どこに隠し持っていたのか、小さなピストルが握られていた。
ヒュッ、と喉が鳴って、時が止まったかのように部屋の中が静かになる。
「その銃、安物だろ。そんな遠くからじゃ、殺すどころか手のひら貫通もできないよ」
暗闇に光る綾都の目。
攻撃力が弱くても、ピストルはピストル。当たりどころが悪ければ、死んでしまうようなものだっていうのに。
綾都は怯むような素振りも見せず、逆に浮本さんを馬鹿にするように笑いかける。
なんで逆上させるようなこと言うの……っ!
「ほら、打ちなよ。弱気なお嬢さん」
浮本さんが震える手で引き金を抜いた。
ダメ、ダメダメ……っ!
綾都が死んじゃう……!
男の手を振り払おうとした、その時だった。