クズな君と恋したら



私の腕を素早く掴んで、思いっきり後ろに引く綾都。


___そして、パンッ!という何かが弾けるような、乾いた音が部屋の中に響き渡った。


ほとんど投げられたような感覚で、反射的に目を瞑ると、その先にいた伊吹くんに抱き止められる。



「っ、水上さん……!」



一瞬、何が起きたのか理解できなかった。

とっさに声のした方を向くと、さっきの小さなピストルを持つ浮本さんの姿。


そんな浮本さんは、笑っていた。


さっきまでの絶望感をただよわせるような表情とは真逆の、高揚した笑顔。

そして、浮本さんが向けた銃口の先にいる綾都。


考えたくもない事態が頭の中に浮かんで、一気に心拍が早くなる。



「あや、と……?」


「きゃははっ!近づいたら打つわよ?」



呆然とする私の前に立って、綾都と同じ真っ黒なピストルを構える伊吹くんと、片膝をついた綾都の肩を必死に揺さぶる北斗さん。


……そして、狂ったようにピストルを振り回しながら笑い続ける浮本さん。



「あんたたちはみんな、あたしとここで死ぬのよ!」



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