クズな君と恋したら



そう言って、机に置かれていた"あるもの"を手に持ったかと思えば、その先端についているボタンのようなものを、浮本さんは迷うそぶりも見せずに押した。


カチッ……と小さな音がした。


___その数秒後。



ドカンッ!



そんな爆発音と共に、まるで大地震が起こったかのように建物全体が大きく揺れ、傾いた。



「きゃっ……!」


なに……?

何が起こってるの……?


「1階から3階を爆破したの。もう逃げ道はないわ。アンタたちも、あたしも。ここで死ぬの!」


嘘……っ。

たらりと伝った汗。


「だから逃げても無駄よ?まあ、こんな重症人がいたらお荷物だと思うけど」


再び綾都にピストルを向けた浮本さん。

次の瞬間、無意識に動いていた私の体が、浮本さんに体当たりしていた。


ドンッ!と衝撃が身体中に響いて、少し軋んだけれど、今はそれどころじゃない。


私なんて……どうでもいいっ……!




< 141 / 165 >

この作品をシェア

pagetop