クズな君と恋したら
今頃、綾都はどこにいるの……?
炎に囲まれたりしてないよね……っ?
無事に安全な地面に降りて、助かっても、私の心の中の不安は拭い切れないまま。
「うっ、あぁぁ……っ!」
あの時、引きずってでも止めればよかった。
諦めずに綾都が折れてくれるのを待てばよかった……っ。
「……夏芽さん、危ないのでこちらへ」
北斗さんがどこかに電話をして難しい表情をしている横で、私は伊吹くんに支えられながら毛布をかけられて、車に乗せてもらった。
みんな……辛いんだよね……。
「くそっ……!」
わずかに開いた車窓から、外で悔しそうに地面を思い切り叩く伊吹くんの声が聞こえてくる。
何度も、何度も。
拳をかたいアスファルトに打ち付けて、血が出るくらいに。
「綾都さん……っ」
聞いてられなくて耳をギュッと塞ぐと、世界で私ひとりになってしまったみたいで、もっと苦しくなった。