クズな君と恋したら
ドキドキキャンプ
やきもち
数週間後。
「わぁ……!」
「紅葉きれーい!」
今日は、待ちに待った二泊三日のキャンプ体験!
そして、目の前に広がる赤とオレンジ、黄色が鮮やかに散りばめられた紅葉。
ハラリと舞い落ちたもみじの葉っぱが、私の手の上に乗った。
赤色のきれいな形。
まず1日目は、目の前に堂々とたつ大きな山でハイキングをするらしい。
そして、頂上についたらみんなでカレーを作ってテントで就寝。
外で寝泊まりをするなんて初めての経験だから、朝からずっとワクワクが止まらない……!
……それなのに。
「あたし、ちょっと怖いかも……滑っちゃったらどうしよう、水上くん?」
少し離れたところで、水上に腕を絡める浮本さんの姿が目に留まる。
なんだか、心の内側がモヤっとする。
なんなの、アイツ。私と一緒の班でしょ。
どれだけ触られても振り払うことをしない水上にムッもしながらも、山に入っていく生徒たちをぼーっと見つめる。
……あれ?
なんで私、今モヤっとしたの?
水上と関わりが少ないことって、いいことじゃん。水上のことを狙っている女子たちを敵に回さなくて済むんだから。
モヤっとする必要なんて、ないのに。
なんでだろう。
たくさんの女の子たちと一緒になってヘラヘラと笑っている水上をみると、なんだか胸がギュッて握られたみたいに苦しくなる。
「……別になんとも思ってないし」
ぼそりとそんなことを呟くと、わざとらしく水上たちの方から体ごと向きを変えた。