クズな君と恋したら







「はぁ……疲れた……」


「だからお手をどーぞって言ってるのに」


「自分で歩くからっ」



ぜぇぜぇと息切れの止まらない私の隣で、涼しげな顔をして再び私に手を出す水上。


普段、体育の授業でしか運動しない私は、当然体力なんてなくて。


もうすぐで頂上に着くというのに、筋肉のない私の体の至る所から悲鳴が上がっていた。




「も……無理……っ」



どんどん先を行ってしまう班のみんなは、もうすぐで背中が見えなくなってしまうくらいだ。


膝に手を着くと、それに合わせて水上も止まってくれる。


まだ後ろに登っている生徒はいるものの、私たちも最後尾に近い。



早く行かないと、私を待ってくれる水上にも申し訳ない。



「がんばれそー?」


「当たり前だし……!」



自分に喝を入れて、再び足を踏み出した時だった。





「水上くんっ、怖いから腕に捕まっててもいい?」




後ろから、甘えるような猫撫で声が聞こえたと思うと、私と反対の位置である水上の隣に、女子生徒が並んでいた。


___なんで浮本さんが。


あぁ、そうか。後ろにいた班を抜け出してきて来たんだ。




「ね、いーい?」



水上にそう聞きながらも、すでに水上の腕に抱きついている浮本さんの目が私を捉えた。



「瀬戸さんはずっと1人で登れてたんでしょ?あたし、もう何かに捕まってないと倒れちゃいそうなの」



私の方を見て、にんまりと笑う浮本さんの目は笑っているけど笑っていなかった。







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