クズな君と恋したら
「え……なんか、みんないなくない?」
「もうちょっと行ったらいるよ!」
「?そっか」
違和感に気づいたのは、ついさっき。
体力がない私は、ろくに前も見ず、前を歩いてくれる浮本さんについていくばかりだったからなのか、自分がどの道を来たのかが全くわからなかった。
「やっぱりおかしいよ、一旦戻らない?」
そう声をかけても、浮本さんは無視か強行突破。
本当にこっちで合ってるのかなぁ?
しかも、雨で落ち葉が濡れているせいで足場も悪くなって滑りやすいし……。
どう考えても、登るべき場所じゃないよ、ここ……!
そう、歩けば歩くほど整備されていない道となっていく。
私が今いる場所はもうすでに、人1人しか通れないくらい狭い道___といっても、もう道はなく獣道のような。
しかも、今周りに綾都はいないし、私が先生に呼ばれて頂上に戻るってことも知らないと思う。
「やっぱり私、戻ることにするね。下山してから先生に___」
「うるさいなぁ、もう。気色悪い」
「……え?」
今、なんて……。
驚いてかたまっている私を見て、浮本さんはクスリと笑う。
「水上くんがイケメンだからって媚び売っちゃって」
「は、はぁ?」
媚び売るって……言い方悪すぎでしょ。