クズな君と恋したら
……そんなんだったら、いっそのこと死んだ方がいいのかも。
「あや、と……」
震える声が無意識に、綾都を呼ぶ。
そんな小さい声で、しかもこんな場所にいたって綾都が来るわけないのに。
守ってくれるって言ったじゃない。
私が死んだら、意味ないか……。
「綾都のバカ……」
あまりにも理不尽な言葉に、自分でも笑ってしまう。
そうよ。
……まだ笑う元気はあるんだから。
私は、自分の頬をバチンと叩く。
何、ここで死のうとしてるの?
私はまだまだやる事があるんだから。
元彼に吠え面をかかせること。
家に逆らってでも恋をすること。
そして___。
綾都のあの鉄壁仮面をなにがなんでも剥がしてやるってこと。
手をついて立ち上がり、大粒の雨が降る外へと足を運ぶ。
ここで死んだら、私の花の人生が台無しよ。
それでも、元気なのは心だけ。
すぐに足から力が抜けて、崩れ落ちるようにして倒れてしまう。
___はずだった。
それなのに?
「っ……なんで……」
「見つけた」
倒れかけた私を、正面から受け止めてくれた彼は、いつものように笑顔を浮かべながらそう言う。