クズな君と恋したら





……そんなんだったら、いっそのこと死んだ方がいいのかも。



「あや、と……」


震える声が無意識に、綾都を呼ぶ。

そんな小さい声で、しかもこんな場所にいたって綾都が来るわけないのに。



守ってくれるって言ったじゃない。



私が死んだら、意味ないか……。



「綾都のバカ……」



あまりにも理不尽な言葉に、自分でも笑ってしまう。



そうよ。

……まだ笑う元気はあるんだから。


私は、自分の頬をバチンと叩く。


何、ここで死のうとしてるの?



私はまだまだやる事があるんだから。



元彼に吠え面をかかせること。

家に逆らってでも恋をすること。


そして___。





綾都のあの鉄壁仮面をなにがなんでも剥がしてやるってこと。





手をついて立ち上がり、大粒の雨が降る外へと足を運ぶ。




ここで死んだら、私の花の人生が台無しよ。



それでも、元気なのは心だけ。



すぐに足から力が抜けて、崩れ落ちるようにして倒れてしまう。






___はずだった。






それなのに?



「っ……なんで……」


「見つけた」



倒れかけた私を、正面から受け止めてくれた彼は、いつものように笑顔を浮かべながらそう言う。







< 43 / 165 >

この作品をシェア

pagetop