クズな君と恋したら
「さーて、お姫さん。帰る?帰らない?」
「えーっ、か、帰らないし!絶対!」
あれから、私はお風呂に入り、綾都が買ってきてくれた軽食を済ました。
そして、突然そう問いかけてきた綾都に対して、半分怒りながら返す。
私がずっとこの行事を楽しみにしてたの、知ってるくせに!
「でも、俺時間外労働しすぎて体げんかーい」
そう言って、隣のベッドにボフッと倒れる綾都。
そっか、綾都は雨の中私を助けてくれて、一睡もしてない。
「……寝たら?」
「えー……」
うつ伏せになっているから、綾都の顔は見えないものの、ものすごい睡魔に襲われているのだろう。
「寝かしつけてあげよっか!」
眠くて眠くてたまらない今なら、綾都の素顔が少しでもしれるんじゃないか。
___そんな軽い気持ちで私は、隣のベッドに移動して、綾都の顔を覗き込んだ……はずだった。
「……っ、え?」
視界は反転。
私の目の前にあるのは、先ほどの長いまつ毛を伏せて眠っているように見えた綾都ではなく。
「……ざんねーん」
「え、はっ……!?」
ど、どうなってるの……!?この体勢!
ベッドに仰向けになった私の上に、覆い被さるようにして私の顔の横に肘をついている綾都。
っていうか、顔、ちか……っ!
「添い寝してくれるってことだよね?」
「へっ……」
そんな間抜けな声が私の口から溢れる。