クズな君と恋したら
「好きじゃないにしろ、あんなに情を持って主人のことを守ってくれるボディガード、そうそういないよ。もしかして、どこかで昔会ったことがあるとか」
「えー、あんなイケメンと会ってたら、絶対忘れないよ!」
「それもそっか?」
……たしかに、どうして綾都は、同じ学校に通おうとしてまで私と一緒にいてくれるんだろう。
わがままで、よく性格が強気って言われる私に必要以上に踏み込んでくるんだろう。
___仕事なのに。
「きっと、すごく夏芽のこと大切に思ってるんだろうな〜って感じが伝わってくる気がするんだよね……夏芽と一緒にいる時、雰囲気が変わるし」
___いや、いつも主人のそばについているのが綾都の仕事。
きっと、仕事モードに切り替えてるから雰囲気が違うように見えているだけ。
軽く頭を振って、考えをリセットする。
「夏芽も、ツンデレもいいとこだけど、たまには労わって癒してあげてよ〜?ボディガードは命をかける仕事なんだから」
ねっ、と私の肩に手を置いた心は、部屋の電気を消した。
さすがにもう、寝なきゃだよね。
最後の3日目は、午前中にものづくり体験をして終了。
「じゃ、おやすみ!」
「おやすみー」
お昼にたくさん寝ちゃったから、全く眠くないなぁ。
体をまるめれば、綾都のぬくもりを思い出してしまって、心臓が静かになるまで時間がかかった___。