クズな君と恋したら
「綾都さん、まっじですごいんですよ!俺がどんだけヘマしても、何も言わずにカバーしてくれて!」
僕もあんなふうになりたいなぁ、と呟く伊吹くん。
もしかして、綾都が1日目の夜に会った時に言っていた「部下がヘマしちゃってね」というのは、伊吹くんのことだったのだろうか。
ということは、伊吹くんも警察秘密部隊の……?
___そっか、だからお父さんは、この人たちに私のボディガードを頼んだのか。
綾都も、伊吹くんも、オーラでわかる。
すっごく強くて、他の人が持ち得ないものを持っている。
「綾都、すごいんだね」
私がそう言うと、伊吹くんは目を輝かせて大きく頷いた。
「そんな大きな組織のトップである綾都さんが、なんか突然瀬戸財閥の護衛につくとか言い出したんですよ!」
「……え?」
「案件が来たわけでもないのに、もう決めたことだーとかなんとか言って、飛ぶように契約交わしちゃいましたね」
「ちょ、ちょっと待って!どういうこと……?綾都が……トップ?それに、自分からって……」
秘密警察部隊のトップ……?
もしかして、綾都ってめちゃくちゃすごい存在じゃ……?
「あれ、聞いてないんですか?」
きょとんとしたような表情で、バックミラー越しに私を見つめる伊吹くん。